智辯和歌山 0023001402=12
東海大相模 4000240000=10(延長10回)
智辯和歌山が18年前の決勝以来の対決を制し、決勝進出。一言で言うと「壮絶な打撃戦を智辯和歌山が制した」「またもや終盤に驚異の粘りを見せた智辯和歌山が大逆転勝利」ということになるが、東海大相模が勝利を逃すに至ったプレーが3つあったので、それを一つずつ振り返りたい。
一つは7回表・智辯和歌山の攻撃、二死無走者からの4番文元の打球処理。左中間に飛んだフライの捕球時にレフト上杉とセンター森下が交錯し落球(記録は上杉の失策)。どちらも悠々落下地点に入れる当たりだったが、やはり声が届かないのだろう。二死二塁となりそこから内野安打、暴投で4点差となる6点目を献上した。
それまでは5回裏に渡辺のツーランで逆転→インターバル中の智弁・高嶋監督のキャッチャー東妻への恫喝→6回表智辯和歌山フライアウト3つで三者凡退→6回裏東海大相模が智弁の3エラーで4点加点。と完全に相模ペースで来ていたのがこの1プレーが風向きがかわるきっかけとなり、智弁が1点返したことで準々決勝の大逆転の再現があり得る、という空気になってしまった。
果たして智辯和歌山は8回に林と黒川のタイムリーで4点を上げ同点にするのだが、相模にとって痛かったプレーの2つ目が、追いつかれた直後の8回の攻撃だ。この回、智辯和歌山ナインは回が始まるときに伝令を送ってまで回の入り方に気を付けていた。にもかかわらず平田が先頭森下を四球で歩かせてしまう。そして上杉に対してカウント1ボール。動きやすいカウントとなり、警戒する智弁平田はまずゆっくりめの牽制を1塁へ。そしてもう一つ早めの牽制を続ける。このとき、2球とも走者森下は頭からではなく足から帰塁していたので、おそらくサインは何も出ていなかったのだろう。しかし、この2つの牽制を見て、おそらく門馬監督が(3つ牽制はないため、スタートをきりやすいと見て)サインを盗塁に切り替えた。通常より長めにベンチを見る森下。そして平田の2球目でスタートしたのだが、この森下の一連の動きを察知してかはわからないが、投球は最も二塁に送球しやすい外角高めのまっすぐで、2塁へのストライク送球で森下は楽々2塁封殺となった。絶対に出してはいけない先頭打者を四球で出してしまった智辯和歌山にとっては助けられる形となり、東海大相模は突き放す絶好のチャンスを逸した。
そして3つめが、延長10回の智辯和歌山の攻撃。安打と四球で無死一二塁となり、打者は途中出場の田中。次打者は5番富田。ここは100%バントである。そして田中が初球スライダーを投手前に転がすと、東海大相模の齋藤が猛チャージし反転して三塁へ送球。と思われたが、これが手につかなかった。結局1塁でアウトをとるしかできず一死二三塁となり、続く富田に犠飛、黒川に適時打を浴び、痛恨の2失点。田中の場面は絶対にバントというケースだったため、何がなんでも三塁封殺という気持ちが強すぎて、齋藤に焦りが生まれたのだろう。相模としてはこの進塁を許したのが非常に痛かった。
準々決勝までの3試合で見せた攻撃のバリエーション、好守、投手陣の仕上がりを見ると、決勝進出どころか優勝候補の大本命・大阪桐蔭も軽く呑み込み優勝するのでは、と思わせた東海大相模。そんな彼らも、勝負所で少しずつ自分たちへの流れを手放すプレーを続け、勝利を逃した。
智辯和歌山の終盤の猛打の印象が強いが、「負けに不思議の負けなし」という言葉が当てはまる、準決勝の一試合目だった。