乙訓 010014001=7
山陽 200000000=2
現地観戦。乙訓が6回表の集中打などで中盤以降着実に得点を重ね、初出場校対決を制して甲子園初陣を飾った。
乙訓・市川監督は監督として初の甲子園で、初回無死一塁2ボールからヒット・エンドランで好機を広げるなど、リスクをとった積極的な采配を見せ、奇しくも自らが鳥羽高校の主将として初出場した2000年センバツ初戦(7-2埼玉栄)と同じスコアで勝利した。
■乙訓・川畑、流れをかえる完ぺきリリーフ
乙訓は投手二本柱のうち、左のエース富山が先発。昨秋近畿大会の初戦・2回戦で先発するなど、背番号10ながら大事な試合を任されてきた左腕だが、序盤から変化球の制球が安定しない。
初回は二死二塁からおかやま山陽・4番井元に高めスライダーを左翼席に運ばれ先制を許すと、2回は3安打を浴び一死満塁、3回は2つの四死球で二死二三塁と連続してピンチを迎えるが、相手の強引なスイングにも助けられどうにか切り抜けた。
先発投手が完投というのが基本スタイルの乙訓だが、やむをえず継投策に出る。同点に追いついた5回の裏からエースナンバーの川畑が登板。この川畑の出来が素晴らしく、140キロ台のまっすぐを中心にぐいぐい攻め、序盤から快音を響かせ続けていたおかやま山陽打線の勢いを完全に止め、中盤以降の味方の攻撃につなげた。
■攻撃の起点となった、乙訓リードオフマン大上
乙訓打線の切り込み隊長、大上(おおうえ)の足とセンスが光った。初回は点につながらなかったものの、セカンドやや左寄りのゴロを快足を飛ばし内野安打とすると、5回はセンタ―右へのヒットで迷いなく2塁を陥れ、同点のホームを踏んだ。
そして2点勝ち越した6回には、一死一二塁の場面、強振して空振りした直後のカウント1-1から意表を突くセーフティバントを完ぺきに3塁線に決め、チャンスを広げ3番浅堀の2点タイムリーにつなげるなど、打線の軸と言われていた4番宮田・5番中川に当たりが出ない中、得点の起点となりリードオフマンとしての役割を十分に果たした。
そしてショートの守備では、川畑投手にスイッチ後はじめて複数走者を許した最終回、最後の打者のショート・レフト・センター間の飛球を背走して、ほぼ背面の難しい体制で捕球。ビッグプレーで試合を締める活躍だった。
■一瞬の油断が命取り、選手は常に集中を
記録の上ではノーエラーの乙訓。が、試合の流れを手放しかねない場面があった。3回裏、2-1とリードするおかやま山陽の攻撃、制球の安定しない富山投手が二死一二塁のピンチを迎えると、次打者に対して頭の上を通過する投球。これを捕手薪谷が右後方にはじいたが、二塁走者が進塁を躊躇っているところに一塁走者が二塁付近まで進んでしまった。(2013年WBCの内川状態。)あわてて戻る一塁走者。薪谷は一塁に転送し挟殺しようとしたのだが、なんとこの送球を一塁手が見ていなかったのだ。
気づいてあわてて反応するも捕球できず、走者はそれぞれ進塁。結局、打者のキャッチャーフライで事なきを得たが、なんともいただけないプレーだった。(ネット裏は失笑。一緒に見ていた私の母は「なんで見てへんの!」と叫んでいた)
この試合は相手の拙攻に助けられたが、甲子園はスキを見せたチームに対して厳しく、土壇場で信じられない仕打ちを受けかねない。昨夏の、ゲームセットのはずが一塁踏み忘れからの逆転サヨナラ打。というあの大阪の高校の例はその最たるものだ。集中したプレーをどの瞬間もコツコツと続けてほしい。その積み重ねが、土壇場で野球の神様が味方するのか、甲子園のマモノの餌食になるかの分かれ目となる。