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思い出甲子園(1996年春)

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前評判では、前年夏の優勝メンバーがバッテリー含め残っている帝京に浦和学院、鹿児島実の3強と言われていた。

筆者は2年前の夏の戦いを見てファンになった浦和学院を熱烈応援。大会前の組み合わせ抽選では前年秋季大会の各地区優勝校10校のうち9校が左の山に入り、浦和学院は初戦で近畿チャンピオン・東海大仰星と激突。勝ち上がると2回戦で帝京が待ち構えるというなんとも厳しい組み合わせになった。

大会初日は四国チャンピオン・明徳義塾が開幕戦を制し、92年夏の5打席連続敬遠以来の出場で白星をあげた。第3試合ではまず優勝候補の一角、帝京が登場。序盤から岡山城東をリードし、帝京強そうやなと思いながら、筆者は翌日の浦学ー仰星戦を見るため埼玉の自宅を出て京都の祖父母宅に向かった。

しかし、新幹線の電光掲示板に流れるニュース速報を見てびっくり仰天。「岡山城東6-5帝京(サヨナラ)」。なんと初日から優勝候補が大会を去る波乱が起きた。と同時に浦和学院にとっては良い展開となった。

翌日、桂から梅田に向かう電車で通勤ラッシュにつかまってしまい、母が持たせてくれたおにぎりがペチャンコになってしまった。大変に苦労して到着した甲子園で筆者は珍しい記録を見た。

大会注目の好投手・浦和学院の三浦は、初回から東海大仰星打線にヒットを許すが、粘り強くピンチを切り抜け続ける。打線が4回のチャンスを生かし先制すると、その後も着実に得点を重ねる浦和学院。結果的に9-0と完封勝利を飾るのだが、なんと三浦投手、毎回被安打、被安打10での完封勝利という珍しい記録となった。いかに粘り強く投げ続けたのかがわかるが、これだけ打たれて完封は後にも先にも記憶にない。

一方の東海大仰星は、東海大系列ながら当時縦縞のユニフォーム着用が認められない大阪大会では白地のユニフォームで勝ち上がり、晴れの甲子園の舞台でついに憧れの縦縞ユニフォームを着るという感動的な出場であった。ていうか白地ユニしか認めないというなんとも時代錯誤感。(※その後縦縞も認められた。)早く予選でのブラバン応援も解禁してーや。

上々のスタートを切った浦和学院だが、2回戦で岡山城東相手に終始劣勢。土壇場9回に同点に追いつくも、延長戦で振り切られ、敗退。意外や意外、岡山城東が激戦ブロックを勝ち上がった。

準々決勝でも明徳義塾を破った岡山城東を止めたのは、優勝候補の一角・鹿児島実業。エース下窪を中心とした手堅い野球で、準決勝で岡山城東を3-2で下して決勝へ。

反対側の山を勝ち上がったのは、2年生エース高塚を擁する智弁和歌山。2年前の大会では複数投手にリレーと強打で頂点にのぼったが、この大会は右本格派の高塚の力投でロースコアゲームをしぶとく勝ち上がってきた。

決勝戦の流れを決めたのは、鹿児島実の初回の攻撃、先頭打者のファーストフライだった。高く上がった平凡なフライを、(風があったか)智弁和歌山のファーストがまさかの落球。浮足立ったまま、初回にいきなり3点を献上し、試合は常に鹿児島実ペースで進む。途中で智辯和歌山が1点差に迫るも、着実に加点し逃げる鹿児島実。結局、6-3で制し、鹿児島実が優勝候補の前評判通りに実力を発揮し、甲子園初制覇を果たした。

一方智辯和歌山は、4連投のエース・高塚はその後故障が発覚し、のちの野球人生でまともに投げることができなくなってしまった。翌年夏の甲子園初戦に先発したが、このセンバツでの輝きは見る影もなかった。高嶋監督がその後複数投手制にこだわる大きな出来事となった。

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