大阪大会で新記録となる7本のホームランを打ちチームを春夏連続で甲子園に導いたPL学園・福留孝介が大会の目玉だった。
そのPL学園にセンバツの決勝を戦った観音寺中央と銚子商を加えた3チームが優勝候補と見られていた。
筆者は1回戦のPL学園対初出場・北海道工戦を観戦。第二試合に登場のPL学園。第一試合を見る気持ちは明訓・弁慶戦を待ちわびる観客の「早くやってよ、坂田くーん」である。
福留の夏の甲子園デビュー戦はすさまじかった。PL打線は、相手の下手投げの変則左腕・藤本投手に対して序盤から得点を重ね、3回裏、6-0としなお二死満塁の場面で福留が第三打席に入った。2ナッシングから内角に入ってきた変化球を強振。筆者はバックネットの3塁側寄りで見ていたのだが、ライトポール際にぐんぐん飛んでいく打球を見て、「え、場外・・?」と思った。それくらいすごい当たり、見たことのない弾道だった。中段に飛び込む特大ホームランに度肝を抜いた。
さらに福留は続く打席でも内角まっすぐを完璧にとらえた。これまたライトポール際中段への2打席連続特大弾。満員の観客が福留劇場に大いに沸いた。
その日は90・91年の2年連続準優勝以来久々出場の沖縄水産が登場し、帝京対日南学園(春ベスト8)の初戦屈指の好カードもあったが、福留の連弾の印象が強く、正直あまり覚えていない。
この年から1回戦ごとの都度抽選ではなく、3回戦までのトーナメントを大会前抽選で決定する方式になっており、PL学園は順当にいけば、センバツ王者の観音寺中央と3回戦当たることが決まっていた。楽しみにしていたが、観音寺中央は2回戦で日大藤沢に敗れ、大一番は実現しなかった。この試合、観音寺中央はサヨナラ負けのピンチで、相手のスクイズ阻止のためセンターが投手の横を守る変則シフトを敷き、甲子園が大いに沸いた。執念の奇策も実らず、最後は高い内野ゴロの間に日大藤沢の三塁走者が間一髪ホームに生還。観音寺中央の春夏連覇は潰え、それ以降甲子園に出場していない。
3回戦では、2回戦の鹿児島商戦で9回ツーアウトからの大逆転勝利をあげた旭川実業が勢いそのままに銚子商を破るという波乱もあり、順当にベスト8進出を果たしたPL学園がそのまま頂点まで突っ走るかという展開になってきた。
しかし、勝負はわからない。準々決勝でPLの前に立ちはだかるのは奈良・智弁学園だった。PL先発の2先生左腕・前川(元近鉄)が立ち上がりを攻められ、1-6と序盤で大量ビハインド。そこからPLが徐々に追い上げ接戦に持ち込むが、5-7と2点ビハインドで迎えた最終回。1死一塁で打席に入った福留の同点ホームランを誰もが期待したが、打球は高いバウンドのショートゴロ。ショートが自分でベースを踏み一塁転送。まさかのダブルプレーでPL学園は敗れてしまった。
PLが敗れたことで興味を失くし、正直それ以降の試合は筆者はあまり見ていないのだが、決勝での星稜・山本対帝京・白木の2年生の投げ合いを制した帝京が、6年ぶり2度目の優勝を果たした。帝京は92年春も制しており、春夏あわせると89年から3年周期で全国制覇を果たしており、まさに黄金期と呼べる躍進だった。
大会を通じて、敦賀気比・内藤、柳川・花田(2人は3回戦で伝説の投げ合いを演じた)関西・吉年など好投手の活躍が光った。