ついに開幕したセンバツ。筆者は初日と2日目をほぼフルでテレビ観戦し、2年ぶりの甲子園大会を堪能した。その中で感じた、ここまでの今大会の特色は以下の通り。
①投手のレベルが高い
②にしても、各校打てない
③優勝から逆算した投手起用の増加
まず、前半2日間に好投手を擁するチームが多く出てきたこともあり、投手のレベルの高さは強く印象に残った。
まず、北海の木村投手。現オリックスの田嶋を思い出すスリークォーターから繰り出す、左打者がのけぞったボールがアウトコースギリギリに決まるほど曲がり幅が大きいスライダーと140キロ前後のキレのよいまっすぐのコンビネーション。これはちょっと打てんなという感じだった。積極的に二けた背番号の右打者をスタメン抜擢しながら、なんとか3点をもぎとった神戸国際は見事。
次に仙台育英の伊藤。2015年中京大中京の上野や、元巨人の入来祐作を思い出す、ホップする系のまっすぐを明徳打線は最後まで捉えることができなかった(結局無安打)。
敗れたが明徳の代木もアウトコースギリギリの球の出し入れで仙台育英打線を1点におさえこんだ。社会人でやって球速が上がったら、3年後にドラフト3位くらいでプロに行くのでは、というタイプの投手だ。
2日目は天理の達。惚れ惚れするまっすぐだった。球速表示は140キロ前後でもストレートの強さは松坂級、故障がなければドラフト2巡目までに指名されるのではないか。まっすぐが浮き、変化球の精度も低かったので本人は納得がいっていないとのことだが、フォークが決まったらどんな投球を見せるのか。2回戦の健大高崎打線との対戦が本当に楽しみだ。(また天理は健大高崎にセンバツ2連敗中。3度目の正直なるか)
そして第三試合の東海大対決でバチバチだった相模・石田と甲府・若山。石田は甲子園でお馴染みの投手で、かわらず勢いのあるまっすぐを投げ込んでいたが、甲府の若山の球を低めに集め、また左打者の内側にもしっかり投げ切れる制球力に唸らされた。つくづく投手はコントロールであるということを再認識した。
開幕前に、大会四天王と言われた小園、松浦、関戸、畔柳を待たずしてこれだけの投手がそろい踏み。今大会は、投手に関してはプロのスカウトもウハウハという状況だろう。
一方で、まだ2日だが各校の打線の低調さは気になる。甘いコースのまっすぐに差し込まれるシーンを多く見る。また、昨年の夏の交流試合でもそうだったが、外野手の頭を超す打球が少なく、ホームランは2日目を終わってまだ一本も出ていない。開催された直近5大会は、大会通算本塁打数は20本前後(16~23本)で推移しているが、今年は一桁どころか5本程度に終わる、ちょっと寂しい展開になるのではと思ってしまう。
やはりこの1年間、練習量や実戦が少ない影響が出ているのではないかと一瞬思うが、そうするとなぜ健大高崎は昨秋の関東大会であれだけホームランを打ったのか説明がつかない。それだけ、投手のレベルが高いということなのか。3日目、4日目とこの投高打低傾向が継続されるのか、それとも少し潮目が変わるのか、大会全体の「流れ」のようなものも感じながら見届けていきたいと思う。
最後に、球数制限ルールが新設された中での、優勝候補と言われる高校の初戦の入り方も実に興味深い。仙台育英と東海大相模はいずれも1回戦の相手が難敵で、いきなりの山場となったが、それでもエースをリリーフにまわす決断をした。(もちろん球数制限だけの話ではなく、相手との駆け引きの中での起用だろうが)
結果的に、仙台育英の2年生左腕・古川は4回二死まで無失点、東海大相模の石川は8回を1失点と期待以上の投球を見せ、エースの球数を減らすとともに2回戦以降も戦力として計算が立つという最高の結果となった。仙台育英の須江監督、東海大相模の門馬監督にとっては「序盤の賭け」に勝った、というところだろう。両校とも一気に駆けあがり、準決勝で2015年夏決勝の再戦が見られることも十分にあるのではないだろうか。
3日目以降に登場する優勝候補の各校が先を見据えた投手起用を見せるのか、手堅くエース先発で初戦に臨むのか、興味深く見ていきたい。