遂に組み合わせが決まった今年の選手権大会。はたしてどんな展開になるか。筆者の今年の夏の観戦テーマは、「近畿勢の復権なるか」。大阪桐蔭以外の近畿勢の夏優勝は2000年の智弁和歌山にまでさかのぼるが、今年こそと思わせる顔ぶれが(京都を除くと)近畿勢に揃った。筆者が特に期待する近江、明石商、智弁和歌山、智弁学園を中心に各ブロックの見どころを追っていきたい。
①海星×聖光学院、智弁学園、八戸学院光星×誉
智弁学園は7日目第3試合で開幕戦(八戸学院光星×誉)の勝者と対戦。愛知県大会で強豪を倒してきた誉だが、相手は夏の甲子園初戦8連勝中の常連校。浮足立った序盤に主導権を握られ大差の試合になると予想。智弁学園の相手は9割9分光星となるだろう。
智弁学園は予選での投手陣の出来が悪かったが、小畠・西村のダブル1年生が思い切った投球を見せられるか。特にスリークォーターからキレのあるまっすぐを投げ込む左腕・西村がポイントとなる。予選で多かった四死球を減らしながら右打者胸元を思いきり突くことができたら、そうそう打たれないだろう。1年生左腕の出来が、智弁学園の今大会の躍進を左右する大きなポイントになるだろう。
②佐賀北×神村学園、高岡商×石見智翠館、履正社×霞ヶ浦、静岡×津田学園
履正社が霞ヶ浦・鈴木、津田学園・前といった好投手を攻略できるかが最大の見どころのゾーン。春に強い履正社だが、過去3回の出場でベスト8にすら入れていない。春の東海王者・津田学園との2回戦が実現したら序盤戦屈指の好カードとなるだろう。
③星稜×旭川大、秋田中央×立命館宇治、米子東×智辯和歌山、明徳義塾×藤蔭
星稜、智辯和歌山、明徳義塾の3強。比較的楽な1、2回戦での星稜・林監督の投手器用が最大のカギ。ここで思い切って二番手・三番手投手を起用し、奥川の投球回数を0~2、3回程度に抑えることができれば、大会終盤まで奥川をフル回転させることができる。そうなると3回戦で対戦するであろう智辯和歌山or明徳義塾はそうそう点はとれず厳しくなるだろう。
複数投手で戦う智辯和歌山は、初戦のうちにできるだけ多くの投手を起用し、この大会で軸として使える投手を見極めたい。
3回戦が星稜×智辯和歌山だと大会屈指の好投手対強力打線の戦い、星稜×明徳義塾だと松井5敬遠の因縁の対決。どちらにしても3回戦でもっとも見ごたえのある試合になるだろう。
④前橋育英×国学院久我山、敦賀気比×富島、花巻東×鳴門、飯山×仙台育英
ブロック全体の混戦度合いは今回の組み合わせで屈指。最も予想が難しいブロックと言える。筆者が最も注目したいのは、花巻東×鳴門の因縁の対決だ。2013年の準々決勝で対戦した両校。鳴門のエース・板東(現ソフトバンク)は花巻東の2番・千葉のカット打法に苦しめられ、千葉1人に実に40球(5打席)も投げさせられた。また、鳴門捕手・日下は再三花巻東の二塁走者が打者にサインを送っていると球審に訴え続けた。その日下が9回裏一打同点・サヨナラの場面で最後の打者になってしまったのは皮肉な結末だった。という両校の試合が6年ぶりに実現した。楽しみだ。
⑤習志野×沖縄尚学、高松商×鶴岡東、日本文理×関東一、熊本工×山梨学院
こちらも混戦。習志野×沖縄尚学の勝者と高松商の2回戦の勝者がそのままこのブロックを通過するのでは。筆者が甲子園に行けるのは17日(土)。順延がなければ準々決勝。なんとしても習志野の試合を見たい。展開の予想どころか願望だ。
⑥岡山学芸館×広島商、筑陽学園×作新学院
2回戦ゾーン。筑陽×作新という通好みの一戦をとったほうがそのまま勝ち抜けか。
⑦東海大相模×近江、中京学院大中京×北照
初戦屈指の好カードである相模×近江がこのゾーンはもとより、大会全体の展開を左右するが、近江が勝つと思う。東海大相模の打線は確かに強力だが、林のチェンジアップを初見でとらえることは難しいだろう。昨年智弁和歌山の打線を沈黙させた有馬のリードも、相手打線が強力であればあるほど効いてくる。東海大相模の投手陣も5人がフレッシュな状態で大会に臨んでいるが、軸になる投手は定まっていない。一人一人は攻略が難しいわけではない、かつ予選で1点を争う接戦を経験していない点は、継投で戦う相模にとって大きな懸念となるだろう。近江は土田、住谷を中心とした上位打線で3,4点奪い、競り勝つと予想。
⑧花咲徳栄×明石商、宇和島東×宇部鴻城
徳栄×明石商の勝者が勝ちぬけるだろう。この試合の最大のポイントは徳栄の初回の攻撃。明石商は中森が不安定になりがちな立ち上がりをどうにか1失点程度に切り抜けることができたら明石商が勝利。強力な徳栄の上位打線に捕まり複数失点したら徳栄。という試合になるのではないか。センバツで強烈なインパクトを残した明石商のリードオフマン来田はホームラン0の打率.320という予選の成績がかえって不気味さを感じさせる。大舞台での強さを見せつけ、夏の甲子園でも爆発するか注目したい。そのためには徳栄の変則左腕の中津原の球に体を崩されずに冷静に対応できるかが大会を通じた調子を左右するだろう。
とここまで8つのブロックを見て来たが、優勝争いの重要なポイントは、各校2番手投手の出来だと思う。予選が行われる7月時点ですでに猛暑だった昨年よりも、長くて気温の低い梅雨から一気に猛暑に変わった今年の方が投手への影響は大きいのではないか。2回戦スタートであっても投手一枚で勝ち抜くのは難しいだろう。また、先発投手の足がつり緊急降板という場面が例年以上に多く見られるだろう。その際にできるだけいつもどおり2番手投手を投げさせることができるか、大会序盤の各校の投手起用が大きなカギとなりそうだ。
複数投手を持て余したチームが序盤で好投手を擁するチームに敗れ、その好投手も大会中盤で足が攣り緊急降板からの敗戦、という流れから、手堅い常連校が漁夫の利で優勝をさらっていくという展開が十分にあり得るだろう。