日本が負けた。おとといの韓国戦に続き、台湾にも1-3の敗戦。これだけのメンツなのに今年がワールドカップじゃなくてアジア選手権なんてもったいないなぁ、なんて言ってたら、そのアジアの決勝にも行けず、3位以下が確定した。
第100回大会の盛り上がりからの落差が凄すぎて、言葉にならない。
なぜこんなことが起きてしまったのか。後からなんとでも言えるという話もあるが、感情の整理のしようがないのでここで振り返りながら理由を考える。
①采配
トータルで見ると論外だった。今日の台湾戦は、韓国戦で95球投げてから中1日の吉田にリリーフさせ、代わりっぱなに痛恨の2失点。これはまぎれもなく監督の責任だ。監督は、甲子園で完全に吉田に惚れこんでしまったのだろう。大会途中で一人の選手しか視野に入らなくなっているあの感覚。デジャヴュだ。あれだけの投手陣を率いながら、特定の投手に過度な負荷をかける光景は、16年アジア選手権の今井・堀、17年W杯の田浦と続き3大会連続。もう見飽きた。神宮の壮行試合では「吉田には投げさせない、彼には将来がある」と言っていた永田監督だが、本質的には小枝監督と何もかわらなかった。明日と明後日の中国戦、柿木と吉田以外の投手は何を思って投げるのだろう。
また、言っていることとやっていることがちがう。吉田が初回に3失点して韓国戦に敗れた後、監督は「台湾戦は投手をどんどん継ぎこんでいく。総力戦だ」というようなことを言った。ではなぜ、今日吉田が2失点した時点で次の投手を投入しないのか。確かに吉田は今日も2イニング目以降を0に抑えた。問題なのは、この言動不一致により、監督がどう試合をマネジメントしていくのかについての考えが伝わってこないことだ。「確かに立ち上がりは悪かった。しかし彼はトータルで見ると少ない失点で試合を作った」とでも言うのか。じゃあそんな投手を同点の場面でリリーフに出したらあかんやん、という話になる。今頃何を思う、板川。
②選手選考
偏っている。俊足好打の1番ショートタイプの選手が多すぎる。同じようなタイプの選手が同じようなパターンで打ち取られ続けるのだから、打つ手がない。
そして、左打者が多すぎる。上位6人に左を並べて左投手に2安打完封されているようでは、話にならない。
打てない日置に代わって出てくる選手が峯でよいのか?森下、W野村、北村は本当に必要なかったのか?
「木では打てない」という前提で野手を選ぶから、守備力と足がある選手(できれば左打者)、とはいえ最低限の打力は求める、という基準になり同じようなタイプに集中してしまう。
打てない前提で選手を選び、打てない前提で作戦を練るのなら賛成だ。徹底的にファールで粘り相手投手に球数を投げさせる、セーフティバントをしつこくしかける、スキがあればどんどん走るorエンドランを仕掛ける等々。そこまで徹底せずに選手のセンスに頼る攻撃を続けているのなら、そりゃ点は入らない。木では打てないのだから。
韓国戦、1-3と1点を返しなお無死二塁という場面で、野尻が内野フライを打ち上げたシーンが最も象徴的だ。どうやって点をとるのか、勝ち切るのか、そのシナリオが見えてこなかった。(また采配の話だが)
③大事な試合への臨み方
アジア選手権が難しいのは、弱い相手と強い相手の(特に投手の)レベル差が極端に大きいことだ。2日連続で県大会1回戦レベルの投手の球を見続けて、その翌日に150kmのサイドスローの球を打てというのは確かに難しい。であれば、韓国戦に臨む前に自チームの投手の生きた球を打つ機会は作れなかったのか。また、投手陣をシート打撃で投げさせるために、香港戦とスリランカ戦には野手を投げさせるという選択肢はなかったのか。金足農でいう打川くらいの、中学まで投手経験がある選手なら、その2チームをそこそこの失点で抑えることくらい造作もないだろう。
とここまで恨みつらみをくどくどと書いたが、このあと2連勝して出場権を得たとして、来年のW杯をはじめ今後の国際大会をどう戦えばいいのかについて勝手に考えたい。
①選考
・投手は、最少失点で試合を作る先発タイプはせいぜい2、3人。残りは必殺技を持つリリーフ担当。必殺技とは、初見ではとらえるのが難しい変化球・球筋を持っていることを指す。今年であれば近江の林、去年なら田浦。アンダースロー、左のサイドなど変則投手は積極的に選び、全日本に選ばれる可能性が高まるというモチベーションを持たせ、人口を増やすべきだ。
・野手は、俊足好打者とスラッガー、右左をバランスよく選ぶ。打順はジグザグに近い形にし、相手の左ワンポイントリリーフの効果を半減させる。スラッガーといっても智辯和歌山の林のような振り回す打者ではなく、低く強い打球を打てる森下タイプだ。
・そして来年以降もカギになるのが球数制限。今日の試合も、左先発投手を打てないまでも、序盤からもっと球数を投げさせることができていたら、6,7回で交代せざるを得ない展開にできた。そういう展開に持っていくうえでも、ファールを打てる選手を選ぶべきだ。そして1名は、2013年花巻東・千葉のようなキワモノを入れるべきだ。そういう選手を相手エースに対して先発で使い球数を投げさせ四球をもぎ取らせる。野手においてもそういう「役割」をはっきりさせた選考をすべきだ。千葉のファール打ちを大会途中で脅して辞めさせた高野連には通じない話だろうが。
②采配
・大会トータルで戦略を持った投手起用を。まず、使わなくていいところでは使わない。アジア杯なら韓国・台湾・中国以外なら野手が投げても勝てる。W杯であっても1チームはそういうチームがいる。いかにそういう相手に対して投手陣の負担をなくすか、それもマネジメントすべきことの一つだ。千葉のような一芸タイプの選手が弱い相手の投手担当をできるなら、18人の枠を有効に使えて理想的だ。
・そして何より、特定の投手に頼らない。というか酷使しない。頼るのであれば、使うべき場面を見極める。今回であれば、韓国戦は吉田を3,4イニングで諦め、今日の台湾戦でできるだけ良い状態で投げさせられるようにすべきだった。
・確かに木では打てない。なら打てない中でどう点を取るか、戦略を作り上げるべきだ。フィールディングが悪そうな投手には徹底したバント攻撃、モーションが大きい投手にはどんどん走って仕掛ける、ファールで球数を稼ぎ、四球をもぎ取る。点をとるためにトライすることはまだまだある。
③大会への臨み方
・ストライクゾーン(コース)が広いことに対応できていない。大会前の壮行試合と練習は、コースはボール1個分広げたストライクゾーンで行ってはどうか。そんなことをすると大会前にバッティングを狂わせてしまうという見方もあるが、本番前に気持ちよく打って本番で苦しむよりは本番前に苦しむ方がいい。そしていかにそのぎりぎりのコースの球をファールで逃げるのか、限られた時間で感覚を持たせるしかない。

このときは期待していたのだが・・。神宮球場での壮行試合後、アジア選手権への決意を語る永田監督。彼は口の達者なガーソだった。
おそらく明日以降の報道で「日本の高校野球はやはり木製バット化しないと~」という話があちこちで聞かれるようになると思うが、そんなことを考えるよりもしなければならないことがたくさんある。