9日目を終えた第100回大会。8日目第3試合の済美対星稜の大激戦により、今大会での各校の投手起用がますます難しくなった。
というのも、この試合がもつれたきっかけとなったのが、終盤の星稜の継投策だからだ。
7-1で迎えた8回裏、星稜・林監督は4番手として、センバツで投手として全く結果が出なかった主将・竹谷をマウンドに上げた。この竹谷が精彩を欠き、3点を返され更に満塁のピンチで降板するまで、打者7人に対して1つしかアウトをとれなかった。その後タイムリー内野安打と3ランホームランで大逆転を許し、延長13回タイブレークからの史上初逆転サヨナラ満塁ホームランというドラマにつながっていく。
この8回裏の起用、林監督は点差があったことで、先のことを見据えたのだろう。そして、なんとか竹谷が大事な場面で使える目途を立てて次戦以降に臨みたかったのではないか。もしかしたら直前の試合で浦和学院が投手4人で完封リレーを見せたことも影響していたかもしれない。結果から見ると、エース奥川が降板している状況で、この策はかなりリスキーだったということになる。
この策の是非をあーだこーだ言ってもしょうがないが、一つ言えるのは、この継投の失敗を、各校の監督が強烈に意識するということだ。
そして、投手起用の失敗は大会の中で連鎖する。記憶に新しいのが2016年の大会。横浜ー履正社の大一番で横浜がエース藤平をリリーフにまわした結果(大雨による中断も影響したが)序盤で試合が決まってしまったのだが、この後、この「エースを温存しての序盤大量失点で敗戦」という流れが履正社→花咲徳栄と続いていく。見事に当時の高校ビッグ3が温存策により大会を去ったわけだ。
賢明な監督であれば、終盤の投手起用で油断は命取りと済美ー星稜戦を見て肝に銘じただろう。こうなると、どこかでエースを休ませて6試合トータルで投手陣をマネジメントするという点での難易度が更に上がる。控え投手に投げさせて序盤大量失点、あるいは終盤に大逆転というリスクをおさえるためには、やはりエースの余力を削ってでも目の前の試合を勝ち切るための投手起用をせざるを得ない。
大会全体がそういう流れになると、エースと控え投手の力量差がはっきりしている高校(具体的には金足農、創志学園、花咲徳栄)は勝ち上がるにつれ苦しくなる。勝ち上がれたとしても、大会の終盤でエースの余力は残っていない。そして挙げた3校とも、優勝候補の大本命・大阪桐蔭と当たる可能性があるのは準決勝以降となる。
幸い(?)今大会は力のある複数投手を擁する高校が例年より多いため、今年のセンバツほど顕著ではないが、やはり「いつ大阪桐蔭と当たるか」という点が優勝の行方を占う上で大きなポイントとなることを踏まえると、済美ー星稜の大激戦は大阪桐蔭にとって追い風となったことだろう。